ワンちゃんの寄生虫対策 - 知っておくべきこと

マダニは哺乳類や鳥類に寄生し、その口器をさしこみ動物の血を吸います。マダニは暖かい時季に最も活発に活動し、森林や草むらでよく見られます。
屋外に出る機会の多いワンちゃんやそのオーナーさんは、特にマダニの被害に遭う可能性があります。

マダニと同様に、ノミも哺乳類や鳥類に寄生し、その血を吸います。ノミの感染ルートはあらゆるところにあります。屋内でも屋外でも容易に生存することができ、また、ノミの卵はさまざまなルートで拡散します。飼い犬がノミに感染するリスク要因として、野生の動物との接触のほか、ノミ対策をしていない近所の猫や犬との接触だけでも感染する可能性があります。それ以外にもノミの感染ルートはたくさんあります。
ノミは犬だけでなく、他のペットや人間にも寄生し、血を吸います。ノミに吸血されると、炎症を引き起こしたり、ノミが媒介する病気に感染する可能性があります。

微小ダニ^(※)は8本足の小さな生物で、イヌセンコウヒゼンダニのように、犬と人の両方に寄生する種類もいます。
微小ダニは皮膚の表面やその中に潜り込み寄生するため、すぐに新しい宿主を求めて移動することはありません。しかし、微小ダニが寄生している犬に直接触れることで、人間にも寄生することがあります。

回虫は、ペットの体内で見られる寄生虫としては最も一般的で、腸内に住み着きます。回虫の卵に汚染された土の匂いを嗅いだり、なめたり、または回虫の卵が付着している生肉を食べたりすることによって卵が体内に入ります。また、母犬から子犬にうつることもあります。
犬が回虫に感染していても、必ずしも症状がみられるわけではありません。しかし、大量の回虫が犬に寄生すると、お腹が膨れたり、下痢や嘔吐などの消化器症状が見られることがあります。

鉤虫は犬の腸内に住み着き、糞便を通じて環境中に卵が排出されます。幼虫は体外で卵から孵化し、その後、感染性をもった幼虫を偶発的に犬が摂取することで感染することもあります。温暖な気候で多く見られる鉤虫の幼虫の中には、皮膚から侵入して腸までたどり着くものもいます。
犬に寄生する鉤虫は種類によっては人にも感染することがあります。
人の体内で成長はしませんが、ミミズ腫れ様の皮膚病変を生じることがあります。

犬糸状虫症（フィラリア症）は、蚊が媒介する犬糸状虫（Dirofilaria immitis）に感染することにより発症する疾患です。犬の場合、循環器、呼吸器系に障害を及ぼします。初期には軽い咳が続く、または動きたがらなくなるといった症状が見られ、進行すると死に至ることもあります。
犬糸状虫症は南極大陸以外のあらゆる陸地で見られます。地球温暖化などの気候変動によって蚊の活動地域が広がり、それに伴って犬糸状虫症も広く蔓延してきています。

眼虫、または東洋眼虫（Thelazia callipaeda）は、犬を含む多くの哺乳類に寄生する小さな白い線虫で、眼球の表面に寄生します。中間宿主となるある種のショウジョウバエがペットの涙を餌としているため、目に寄生虫が入ります（まさしく名前の通り！）。
眼虫が寄生すると炎症や潰瘍を引き起こします。さらに重症化すると眼球の穿孔から失明につながることもありますが、予防と治療が可能です。

犬鞭虫は犬の大腸（主に盲腸）に寄生します。犬が鞭虫の卵に汚染された地面の匂いを嗅いだり、掘り返したり、また汚染された土のついたおもちゃで遊んだりしたときに、卵が口に入り感染します。
感染しても軽度な場合は無症状ですが、重症になった場合は、血液の混じった下痢や重度の貧血を起こし、治療をしないと死に至る可能性もあります。