統合失調症患者さんを対象とした、BI 425809の第2相試験結果において、認知機能の改善が示される

和訳リリース,
  • 12週間のプラセボ対照第2相試験において、BI 425809は主要評価項目を達成1,2
  • 今回の試験結果は、BI 425809と補助的なコンピュータを利用した認知機能訓練の併用を評価する進行中の第2相試験と共に、ベーリンガーインゲルハイムの統合失調症研究プログラムのエビデンスを補強3
  • 本試験結果は第33回欧州精神神経薬理学会議(ECNP)にて発表
  • 統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)は、日常的な機能に重大な悪影響を及ぼすものであり、複数の精神神経疾患にわたるベーリンガーインゲルハイムの重点研究分野

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月14日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年9月14日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、12週間のプラセボ対照第2相試験において、BI 425809が主要評価項目を達成したと発表しました。この試験結果から、症状が安定している統合失調症患者さんの認知機能の改善が示されました1。多くの日常的な活動において、認知機能障害は患者さんにとって大きな負担となっていますが、現時点では、統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)に対して承認された薬物療法はありません。第33回欧州精神神経薬理学会議(ECNP)にて発表されたこの試験結果は、神経細胞間のシグナル伝達の欠陥が統合失調症患者さんの認知機能低下に及ぼす影響について理解を深めるものとなります2

GlyT1阻害剤のBI 425809は、ベーリンガーインゲルハイムの中枢神経系(CNS)研究プログラムの中核をなすものです。この最新の試験結果は、BI 425809とコンピュータを利用した認知機能訓練の併用を評価する進行中の第2相試験と共に、今後の統合失調症研究におけるBI 425809の方向性を決定づけるものです3,4

インスブルック医科大学(オーストリア)のW. Wolfgang Fleischhacker教授は、次のように述べています。「本試験の結果は、統合失調症における認知機能を理解するための重要な一歩です。認知機能障害は、日常生活を送るために重大な問題を引き起こします。統合失調症の患者さんは、誕生日などを記憶する、新たな作業を学習する、集中する、あるいは日常生活に影響を及ぼす決定を下すことなどに困難を感じます。このような統合失調症の症状を改善する方法の理解を深めることは、研究界にとっても、患者さんとそのご家族にとっても重要です」

統合失調症に伴う認知機能障害を対象としたBI 425809の第2相試験の結果については、統合失調症の治療の開発を継続的に行うにあたり、さらなる詳細な評価が行われています。

ベーリンガーインゲルハイムの中枢神経系(CNS)・網膜症・エマージング医薬品責任者のVikas Mohan Sharma博士(M.D.)は次のように述べています。「統合失調症を対象としたBI 425809の試験で有望な結果が得られました。これは、興奮性神経伝達が精神疾患の側面に及ぼす影響に関する機序についての知識の進歩であり、CNS研究に対する当社の体系的な神経生物学的アプローチに沿っています。これは、統合失調症患者さんにとって重大なニュースであると認識しています。当社は、統合失調症だけではなく、他の精神神経疾患を理解する重要な手がかりとなり得る治療の開発を進めています」

認知は、問題解決、記憶、注意などの日常生活の基本的なものです。認知機能に影響が生じると、情報を処理する、簡単な物事を記憶する、他者の感情や表現を認識する、などの知能が低下します。これらの機能は、統合失調症、アルツハイマー病、うつ病など、多くの精神神経疾患に共通して見られます。認知機能低下に対するソリューションを見つけ出すことは、ベーリンガーインゲルハイムのCNS研究における重点分野です。

1346.9試験について
1346.9試験は、安定した治療を受けている統合失調症患者さんを対象とした第2相無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験で、11カ国で実施されました。本試験の目的は、12週間にわたり、2~25 mgの用量のBI 425809を1日1回追加投与した際の有効性と安全性の評価です。本試験では、12週間の投与後、Measurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia (MATRICS) Consensus Cognitive Battery (MCCB)の総合スコアで評価した認知機能について、ベースラインからの変化を観察しました。この試験結果は、BI 425809がCIASを有する患者さんの認知機能を改善する可能性があることを示しています。さらに、BI 425809には十分な忍容性があり、精神医学上の有害事象や自殺念慮について、群間差は見られませんでした。

1346.38試験は、BI 425809の進行中の臨床試験です。本試験の目的は、BI 425809などの薬理化合物に対してコンピュータを利用した認知機能訓練の併用が、有効性つまり認知機能改善を促す可能性を見極めることです3

これらの試験は、ベーリンガーインゲルハイムの早期段階にある中枢神経系(CNS)臨床試験プログラムの一部です。ベーリンガーインゲルハイムは、精神神経疾患の患者さんにソリューションを提供すべく、薬理学的研究に加え、臨床試験プログラムの一環として、複数のデジタルイノベーションの応用を進めています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

References

  1. Fleischhacker, W,W. Efficacy and safety of BI 425809 once daily in patients with schizophrenia: top-line phase II results. Scientific symposium session: S.12.01 33rd ECNP Congress 13 September2020. https://www.ecnp.eu/Congress2020/ECNPcongress/programme/Programme#!sessiondetails/0000083690_0. Last accessed Sept 2020.
  2. Clinical Trial of BI 425809 Effect on Cognition and Functional Capacity in Schizophrenia. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02832037?term=1346.9&draw=2&rank=1. Last accessed September 2020.
  3. Harvey PD, Bowie CR, McDonald S et al. Evaluation of the efficacy of BI 425809 pharmacotherapy in patients with schizophrenia receiving computerized cognitive training: Methodology for a double blind, randomized, parallel group trial. Clinical Drug Investigation (2020) 40:377–385. https://doi.org/10.1007/s40261-020-00893-8.
  4. Hake S, Huang S, McDonald S et al. Combining pharmacotherapy of BI 425809 with computerised cognitive training in schizophrenia: initial experience of a large-scale multicentre randomised clinical trial. Poster 579 presented at the 33rd ECNP Congress September2020. https://www.ecnp.eu/Congress2020/ECNPcongress/programme/Programme#!abstractdetails/0000432390. Last accessed September 2020.

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