エンパグリフロジン、EUにおいて慢性腎臓病の成人患者の治療薬として承認

和訳リリース,
  • 慢性腎臓病(CKD)は全世界では約8億5千万人、EU内では4700万人以上1が罹患している疾患で2、入院リスクが倍増する3、死因の上位にある疾患です2
  • エンパグリフロジンは、慢性腎臓病の患者さんの全入院リスクをプラセボと比較し有意に低下させた初めてのSGLT2阻害薬です4,5
  • 今回のEUにおける承認により、2型糖尿病と心不全への適応に加えて、慢性腎臓病が新たに加わりました6。2型糖尿病と心不全と慢性腎臓病は相互に関連する疾患で、世界で10億人を超える人々に影響を及ぼしています7

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2023年月7月25日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病、慢性心不全であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。なお、慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎です。

2023年7月25日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は、欧州委員会(EC)がエンパグリフロジンを慢性腎臓病の成人患者 の治療薬として承認したことを発表しました。今回の承認により、EU内の4700万人2を超える慢性腎臓病の患者さんに対する標準治療が進化し、慢性腎臓病の患者さんの全入院リスクの低下をもたらしたことで医療システムへの負担を軽減する可能性があります5,9,10。エンパグリフロジンは、既に成人の慢性心不全および2型糖尿病への適応を取得しており6、今回の承認により、相互に関連することの多い心腎代謝疾患のリスクを管理できる道が開かれます。心腎代謝疾患は、世界で10億人を超える人々に影響を及ぼしています7

European Kidney Patients' Federation(欧州腎臓病患者連合、EKPF)のダニエル・ガレゴ(Daniel Gallego)会長は、次のように述べています。「今回の承認により、慢性腎臓病領域における大きなマイルストーンが達成されました。慢性腎臓病はサイレントキラーとも呼ばれる疾患で、社会全体で予防と早期発見を進めることは極めて重要です。今回、新たな治療選択肢が得られたことで、心腎代謝疾患や腎臓病の管理がさらに向上し、世界中で慢性腎臓病に苦しむ多くの人々に新たな希望をもたらし、生活の質を高める可能性があります」

今回の承認は、今までに行われた慢性腎臓病におけるSGLT2阻害薬の臨床試験としては大規模・広範囲の患者層を対象としたEMPA-KIDNEY試験の結果に基づきます。同試験では、エンパグリフロジンは腎疾患の進行または心血管死の相対リスクをプラセボと比較して28%低減しました(HR; 0.72; 95% CI 0.64 to 0.82; P<0.000001 [絶対リスク減少率:3.8%])。また、同試験では、エンパグリフロジンはすべての入院の相対リスクをプラセボと比較して14%低減し、有意な低減効果を示しました(HR; 0.86; 95% CI 0.78 to 0.95; p=0.0025 [絶対リスク減少率 :4.4%])4,5。エンパグリフロジンの全般的な安全性データは、過去の所見とおおむね一致する結果となりました4,5。慢性腎臓病は、患者さんの入院リスクが倍増し3、世界の死因の上位にある疾患です2。 EUでは、慢性腎臓病の患者さんにかかる医療費全体の最大で70%を入院費が占めています9,10

ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役カリン・ブルヨンは、次のように述べています。「慢性腎臓病は、患者さん自身とご家族の生活に大きな影響をもたらします。慢性腎臓病は、医療システムに大きな経済的負担をもたらす疾患であり、個人のみならず社会全体にも影響を及ぼします。相互に関連する心腎代謝疾患に対する理解を深める中で今回得られた承認を私たちはたいへん喜ばしく感じており、エンパグリフロジンが患者さん、医師や医療システムに対して重要な役割を果たしていく可能性に大きな期待を寄せています」

イーライリリー・アンド・カンパニーの糖尿病・肥満グローバルメディカルアフェアーズ担当シニアバイスプレジデントであるレオナルド グラス, M.D.は、次のように述べています。「慢性腎臓病は、2型糖尿病や心不全などの本疾患以外の心腎代謝疾患と密接に関係しているため、最適な治療をお届けするにはこれらの相互に関連する疾患群に包括的に取り組むことが不可欠です。私たちはこれからも世界各国の規制当局との対話を続け、本疾患とともに生きる多くの患者さんに本剤をできるだけ早くお届けできるよう活動を進めてまいります」

参考情報
EMPA-KIDNEY試験について(エンパグリフロジンによる心腎保護効果の検討)4,5,11

EMPA-KIDNEY試験(NCT03594110)は、国際無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、慢性腎臓病の進展と心血管死のリスクに対するエンパグリフロジンの影響を評価する試験として設計されました。主要評価項目は、心血管死または慢性腎臓病の進展[末期腎不全(透析や腎移植などの腎代替療法の必要性)、eGFRの10mL/min/1.73m2未満への持続的な低下、腎死、eGFRの無作為化時点からの40%以上の持続的な低下]のどちらかが生じるまでの期間としました。主な副次評価項目は、心血管死または心不全による入院、すべての入院、および全死亡としました。EMPA-KIDNEY試験には、慢性腎臓病の診断が確立した6,609人の成人患者が糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わず参加し、標準治療に加えてエンパグリフロジン 10mgまたはプラセボの投与を受けました。

慢性腎臓病について
慢性腎臓病は、全世界で人口の10%以上である約8億5千万人が罹患しています1。 この病気は、腎臓の障害が進行し、本来の機能を発揮できなくなることで起こります。慢性腎臓病は、症状が進行するまで無症状のため、ほとんどの人が診断されず、毎年数百万人が慢性腎臓病と関連する合併症で死亡しています12,13,14。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、慢性腎臓病及び相互に関連する心腎代謝疾患を持つ人々の治療の変革に取り組んでまいります。

心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます7

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます15,16,17

両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。

エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です。エンパグリフロジンは、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています。また、世界各国で、成人の左室駆出率を問わない心不全患者の治療薬として、承認されています18,19。エンパグリフロジンは、EUでは成人の2型糖尿病、心不全、そして今回慢性腎臓病の適応症を取得しています6

*日本において慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎であり、効能・効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)です。

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントのみならず、アンメットメディカルニーズを満たす可能性のある領域にも力を注いでいき、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。心不全やCKDの患者さんに対するエンパグリフロジンの影響を評価するための臨床試験が開始されています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、世代を超えて生活を変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出を目指しています。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的かつサステナブルな視点を維持しています。ヒト用医療用医薬品とアニマルヘルスの2つの事業分野において、53,000人以上の社員が世界130ヵ国以上で事業を展開しています。

イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp(日本イーライリリー)

Intended audiences

This press release is issued from Boehringer Ingelheim Corporate Headquarters in Ingelheim, Germany and is intended to provide information about our global business. Please be aware that information relating to the approval status and labels of approved products may vary from country to country, and a country-specific press release on this topic may have been issued in the countries where Boehringer Ingelheim and Eli Lilly and Company do business.

This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about clinical trials to evaluate Jardiance® as a treatment for adults with heart failure and reflects Lilly's current belief. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of development and commercialization. Among other things, there can be no guarantee that future study results will be consistent with the results to date or that Jardiance® will receive additional regulatory approvals. For further discussion of these and other risks and uncertainties, see Lilly's most recent Form 10-K and Form 10-Q filings with the United States

References

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